オマチ川
長野県 下水内郡栄村 大字豊栄。
名前について。国土地理院の地図にはオマチ川と載っているのでそうしたが、古いムック本(平成9年)に紹介された時にはカジカ沢となっている。
沢と川の名前が違っている場合があるが、ここもそうなのかもしれない。
この渓流に入ったのは初めてではない。何度かやっているけれど、大した成果がない。たいていは後釣りになっていることもあって、小物が1、2匹というのが普通だった。
加えて、ここ数年来の災害復旧工事が、渓の様相を変えている。
この日もすでに先行者があり、その足跡を追う釣行となった。
国道117号線下から攻めあがる。やはり渋い。たまに出るのは10〜16cmのヤマメ、イワナ。
飯山線鉄橋下あたりから、ヤマメが続いて釣れるが、やはり小さい。
あまり大きな滝場はないけれど、落差は結構ある。まだ残雪が多くてその上を歩くが、高くて竿を延ばしても、じゅうぶん攻めきれないポイントもある。下に降りると、上がるとき面倒だし、やり過ごすかどうか、思案する。
でも先に来た人もそう思って竿を出していないかもしれない。そう思ってやってみたら、釣れた。この先もそんなことを考えながらの釣りになる。
オマチ川イワナ24cm。
その後はつづかず。ポイントは結構あるのに、魚がいない。この流域にまでは放流はないのかもしれない。そんなこと思っていると、砂防堰堤が見えてきた。
貼ってあるプレートには、平成23年度とある。わりと最近まで工事していたということか。
この堰堤上はプールになっていて、ちょっと進むのが難しい。
滑落しないように注意してプールを抜け、その上を目指す。
反応はすぐにあった。あまり大きくはないけれど、体色の濃い、よいイワナだ。さすがにここまでは誰も入っていないようだ。
落差は増して、滝場が続くようになる。
2段の滝壺でそれぞれイワナを出した。これがこの渓流の本来の姿かもしれない。
この滝場、ムック本にあったこのポイントだと思う。
記事には、この人「これだけでいい、一匹で十分」と言っている。
ここまで来るのにけっこう時間も労力もかかっているはずだけれど、そう言い切れるのは、なにか長い経験を経て枯淡の境地に立たれているのかと、想像した。このころ駆け出しの自分も、こんな釣り師になれればな、と思っていたのを思い出す。
滝を越え、雪の上を歩いていると、足跡が。なんとここまで入った者がいたのか。
驚いたけれど、なんかおかしい。この人、裸足か?
よく見ると、ヒトの足跡じゃないらしい。犬の足跡を大きくしたような・・・オイ、これってクマじゃ・・・。
左が人の素足の跡に似た足跡。右は自分の足との比較。
クマの足跡は、前足と後ろ足が、若干ずれて重なると、ヒトの足跡に似ると、テレビで観た。それでヒマラヤとかじゃ雪男と思われることもあるとか。
周囲を見回してみる。両側斜面は急で、隠れる場所もない。大型の哺乳動物がいればわかるはずだ。
足跡の状態から見て、そんなに時間は経っていない。
帰るか?
まだクマの出る時期ではないと思ってクマ鈴はつけてこなかった。少雪で冬眠明けも早いのだろうか。
何度か大声を出して、遡行を続けることにした。クマはブレス音が大きいという。耳も澄まそう。
雪がまだ分厚い。渓をブロック雪崩が埋めている個所も、多くなってきた。
2段の滝からは、ロクに竿を出せるところがない。
滝が左から落ちて合流する。その上になると、水量も減少する。
ここまでか・・・。
せせらぎの音はするけれど、見はるかしても水が見えない。すべて雪の下。
引き返そう。ここまで危険箇所もあった。釣果を期待できないのに、さらに冒険することもない。
印象としては、やはり難しい釣り場だな、と感じた。
工事が終わって間もないということもあろうし、けっこう人気の釣り場でもあるらしい。古いムック本でも、入渓者の有無、水の状態で釣果が左右されるとある。
もう少し時間が経って工事の影響から回復すれば、また別の顔を見せてくれるかもしれない。
花たち
シロキクザキイチゲ
ショウジョウバカマ
フクジュソウ
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.52222242859&latitude=36.999469185318
|