樽川
長野県 下高井郡木島平村 大字上木島。
千曲川出合いからの最下流域を見るかぎり、あまり期待の持てない川に思えるが、北信濃の渓流のなかでは水質の高さにおいて抜きんでている。
釣りをするなら中流の往郷地区あたりからとなる。雪代期の水量は多く、かなりの勢いがあるので6月頃にならないと竿を出す気にならない。ようやく水の勢いがゆるむ頃には、もう初夏の声をきいている。
僕はそう何度も来たことがあるわけではないが、あまり濁りが入ることのない渓流で、真夏でも水温はかなり低く、鱒族にとってはよい環境なのではないかと思っている。でも難しい渓流という印象がある。
中流域は、あまり高いものではないが、いくつもの段差で仕切られている。その下の深場が主なポイントとなるが、なかなかシブい。魚信はあるがどうしてもハリ掛かりしない。スレているらしい。・・・まあ釣り人は多いだろう。地元漁協が放流をしているはずだが、だからといってよく釣れるわけでもない。
旧樽川橋下。
国道403号線がかかる千ノ平付近。地図には男滝、女滝とある。
この下の取水口へ降りれる道があって、これを利用し、ウルトラライトルアーで釣り下ってみる。
渓相は素晴らしいが、やはり反応は少ない。近くの発電所から流れ込む水がある。ここで水量がまして、とてもよいガンガン瀬となるが、魚はカスリもしなかった。
樽川野バラ。
中部電力藤平第二発電所下。
さて上流域であるが、国道403号線を遡り、中部電力藤平第二発電所付近から入渓した。地図にはとうぜん載っていないが、川沿いに山道が続いている。この山道が何箇所か川を横切っている。そこには木の電信柱を利用した丸太橋がかかっている。この路を利用すれば釣りも楽になるだろうが、はじめて来たところなので、川の中をひたすら歩く。
季節はすでに6月の半ばになっている。人も入っているだろうしエサ釣りではあまり期待できないのではないだろうか。そう思ってここでもウルトラライトルアーで攻めてみた。・・・しかし反応は乏しい。かなり有望と思える深場も沈黙している。
魚がいないわけではない。丸太橋の下の深場で、ハスルアーにチェイスしたイワナがいた。しかし・・・。
やはりこの時期では結果は期待できないか。当然人は入っているだろうし、魚も多少なりともスレているはずだ。水量が減少すれば警戒心も高くなる。そういった条件の中での釣りだ。・・・しかし渓相は良い。釣れないのも釣り。雰囲気を楽しみながら遡行を続ける。
やがて小物が一発ヒットした。さてこれを潮に流れが変わるか。
帰りの時間を気にしながら遡行する。川に沿って道が続いていたが、それもなくなり、谷の深部に入ってゆく。魚の姿は見えるが、見える魚は釣れない。
小さな落ち込みで、ついに捉えた。深い紫色の体色に、黄色い腹のイワナだ。ただの一投目でゴッツンときた。ふふふ・・・。
こういうときは、サイズはともかく釣れたことに価値があるものだ。
そして大場所。滝場だから期待した。しかし水の勢いがあって攻めきれない。
何度目かでやっと重い手ごたえを得た。でも大物ではなかった。時間的にここで納竿。
これも深い色のイワナ。
この源流部の釣りは、あるいは早期の方がいいのかもしれない。残雪の残る時期だったとしても、この流域でならそう水量は多くはないと思う。
まだこの渓流の、ほんの少しを知ったにすぎない。先はまだあるし、ほかの支流もある。たのしみはまたこのあとにとっておく。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.43902777569&latitude=36.815901824317
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