桑名川
長野県飯山市大字照岡。
国道117号線から市川橋を渡り、県道408号線(旧117号線)を右折。約100mくらいのところに護岸された渓流がある。
水量はかなりあり、周辺の他の渓流同様、5月ではまだ雪代が完全には治まらない。
この川にはあまり入渓した記憶がない。10年以上まえに残雪の上を歩いて行ったら、おおきな砂防堰堤に出くわし、なにもせずに帰ったことがあったが、それ以来の事だったと思う。
5月も後半に入ったこの日、橋から見たこの川の水は、まずもってよい状態に思えた。
護岸されているとはいえ、下流部からポイントはある。ガンガン瀬というやつだ。
最下流の千曲川出合いから遡行する。
ウグイくらいはヒットするかと思っていたが、なにも来ない。ポイントはあるのに。まあハヤの類が遡上するのは暑くなってからだな。
県道の橋下で最初の魚信があった。バラしたが、小物だったようだ。
目の前にJRの橋があるが、その前の低い段差下で重い手ごたえがあった。
こいつが走り回ってなかなか寄せられない。水中でひらめく魚体を見るかぎりそんなに大きくはないはずなんだが。
どうにか取り込むと、それはブラウントラウトだった。25cm。
最近、どの渓流の下流部でも、よくこの人と出会う。千曲川本流から差し込んでくるのだろうか。
護岸の中とはいえポイントは多い。魅力を感じるが、渓相の割には魚影がすくない。わずかに二回の魚信を得たが、釣ったのは小物のイワナ一匹。そしてあの大堰堤にたどりつく。
樹間からコンクリートの一部が見えていたが、近づくと、やはり大きい。中央に穴があって、そのふたつから水が落ちている。そしてその下のプールがすごい。とても渓流竿で攻められるものではない。8mの本流竿があるが、いっそルアーの方がいいかもしれない。そう思ってこのポイントのためだけにライトタックルルアーを持ってきた。それとロープも。
下まで2.5mはあるが、降りるのは訳ない。
ルアーは5gのスプーンと7cmミノー。ウェーダーのブーツがつめたくなるまでねばったが、結局 ノーヒット。ロープをよじのぼり、堰堤上をめざす。
ここの気温は、まだ春なかばといったほどの涼しさだ。歩いていても汗ばむことがない。一か所のポイントで粘っていると寒さを感じるほどだ。それだけなら快適と言っていいのだが、どうも虫が多い。しかも蚊がすでに発生している。
ときおり降り注ぐ日差しが渓流を輝かせてくれる。
大岩のあいだを清冽な水がほとばしる。このあたりのどの渓流にくらべても遜色ない美渓なのに、この魚影の薄さはどうしたことだ。先行者の形跡もないのに。
めげずに釣り上がる。ポイントは豊富で、邪魔になるボサも多くない。樹は高く、竿も仕掛けも2、3mのものが主に使える。その点楽な渓流である。
ポイントをこまめに探ってゆくと、少ないながら反応はある。釣れるのは20cm程度。これがこの川のポテンシャルなのだろうか。
はじめて自然の滝場に来た。
いままでの大場所でも成果がなかったが、こういうところで結果がないと、この先に期待が持てなくなる。
まず小物が流れ出しで反応した。でもバラし。ハリが八号のイワナ鈎だからだ。小物などバレてもいい。
落ち込み脇の巻き返しに仕掛けを絡ませるとヒットした。今度は小物ではない。貴重な良型だ。慎重にやり取りし、手網に納める。
測ると25cm。まずまずか。
ずいぶん上流に来たと思ったが、水量はいまだ多く、先はまだある。最源流は次回に。
なお、注意すべきことは、この渓流は蚊がひじょうに多いということだ。まだ5月なのに群がってくる。こんな渓流は他に知らない。
虫よけ剤はかならず携帯し、痒み止めもあった方がいい。
このあたりの花とか
タチツボスミレ
フッキソウ
ハシリドコロ
イカリソウ
エンレイソウ
桑名川ムカシトンボ
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.44855555503&latitude=36.974481662786
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