城之入川

　新潟県南魚沼市樺野沢。

上杉景勝ゆかりの地。

右に龍澤寺、左に史跡・樺沢城跡の入り口を見て、上越国際スキー場へとつづく坂道をいく。途中の旧道と思われる道に入り、ここから釣りあがる。

天候のせいもあって、何となく暗い雰囲気の渓流だ。釣れないからなおさら。

何年か前、この道を通って上越プレイランドから北沢川に抜けたことがある。そのとき覗いたんだが、すでに夏場という事もあって、水も少なめ、藪がじゃまでよく見えない。あまり期待できないが、早期に来てみよう。そう思っていた。

下流部はコンクリートの護岸で竿を出す気にならず、中流域から始めた。

ここも砂防堰堤で区切られていて、魚の行き来はできないだろう。かつてはこういった渓流は期待していなかったけれど、イワナはそんなヤワな魚ではないらしい。

最初の高い砂防堰堤の上から釣りあがるが、まったく魚の気配なし。

昨日の降雪があって、天気も曇りがち。景色はモノトーンに沈んでいる。

気分も沈みがちになった。この川は魚がいないのではと思い始めた。人の跡もないのに反応なさすぎる。

エサはマダラカゲロウ。だがアタリなし。

旧道下の土管の吐き出し口、この大場所ですら反応なし。　　　

ところが、この旧道をさかいに状況は一変した。この先のほとんどのポイントからイワナが姿を現した。

エサをカワゲラに切り替えて投入。なんとすぐに魚信あり。２投目でとらえた。

なんだ、いるじゃないか。また魚のいない川かと思った。ということは、やはりエサか？

いったん土管に戻って、カワゲラを使って攻めてみる。時間はかかったが、イワナが出た。エサか・・・。

自分の経験ではマダラカゲロウはヒラタカゲロウとカワゲラの中間くらいのエサだったんだが、この渓流のイワナには通じないのか。

カワゲラ頼りに釣りあがる。

イワナの反応はまことに良い。22、23�pくらいの中型イワナがテンポよく釣れる。でもなぜだろう。自分が最初に入渓したからだとは思うが、もしかしたら敬遠されているのかもしれない。

この細いポイントでも重い手ごたえが！でもバラシ。

この川の流れは深く切り込んでいて、砂防堰堤で区切られているので、川と道路を頻繁に上り下りしなくてはならない。けっこう足にくる。体力に自信のない人は危険を冒してまで釣りをしようとはしないのかもしれない。大沢川の支流・大谷地の沢みたいにだ。

また高い砂防堰堤が立ちふさがる。大物の雰囲気のある滝つぼだ。期待を込めて振り込む。

何投目かでもぞもといった感触があり、竿をたてるとイワナがはねて消えた。アワセが早かったか。

さらに数投、今度は思い手ごたえが返ってきた。さっきのモノかどうかはわからないが、これも良型。

いい釣りだ。良型ばかり・・・。ふと気づく。

イワナはよく釣れてくれるが、まるでサイズをそろえたように22〜23�pが釣れるのだ。大物がいない。

この高い砂防堰堤の上はプールだった。

これも大場所。大物を想定し、チョウチンではなく長めの仕掛けで挑んでみる。が、足場が悪い。大物がかかって、走り回られたら対応できるだろうか。悩んでも仕方ない、まずはやってみることだ。

ここも粘った。エサが尽きていたので、今日のラストチャンスだったのだ。いくつもの筋を繰り返しながす。

そうこうしていると、やっと反応があった。目印の動きではなく、竿を持つ手元にコツコツという感触があった。

アワセると、よく引く。でもこれなら引き抜ける。ゴボウ抜きをしてみると、またしても23�p。

もっとも不満はない。手つかずの渓流で遊ばせてもらったのには感謝するのみだ。