渓流魚とは
イワナ
ヤマメ
ニジマス
カワマス
F
1(交雑種)
カジ
カ
アブラハヤ
ウグイ
イワナ
(岩魚
Salvelinus leucomaenis
、英名
Whitespotted char
)
かつて幻と言われ、その神秘性から今でも一番の人気を誇っている魚。
標高の最も高い河川の最上流の冷水域などに生息していて、ほかの地域のイワナと交配の機会がすくないせいか亜種や地域個体群があり、希少種も多いといいます。
とはいえ僕はこまかい種の判別はできないので、よくはわからないものの本州にもっとも多いニッコウイワナというのが主に釣りの対象になっているようです。
エサのすくない流域に棲むためあらゆる生物を獲物とする獰猛さから、古くから釣人に畏怖と敬意の念を持って語られて来ました。
少年時代に僕が読んだマンガ本に、水におちた人間が魚の群れに襲われ、骨になるという場面がありましたが、どうもその魚はイワナであったらしい。
むろんマンガに過ぎませんが、そんなイメージを人に持たせるほどにこの魚は強烈な個性をもっているということでしょう。
上はなんとなくアメマスを思わせる本流のイワナ。
頭部が平で小さく胴が太いのは、エサが豊富なのと、本流の強く速い流れに適応した結果であろうか。
ヤマメ
(山女魚、山女 学名
Oncorhynchus masou masou
)
ヤマメにも地域個体というのがあるらしいけど、僕にはみんな同じに見えるので、イワナほどには個体差を気にしたことは無いのですが、撮った写真を見るとヤマメ特有のパーマークに色々特徴があるようです。
上はイワナの棲む源流域で釣れた異風のヤマメ28センチ。
これくらい違えば僕でも別物とわかりますが、ここの在来のものかどうかはわからない。
今日のように盛んに放流が行われていれば、おそらくほとんどの川では純天然ものが数を減らしていると思われます。
左は細長小判紋のヤマメ。
天然ものかどうかはわかりませんが、こんなふうにこの川だけの特徴をもったヤマメがいることもあります。 しかも地元漁協で聞いたところでは、この川での放流は行われていないとのこと。
こういうものは保護の対象とすべきなのかもしれません。
ニジマス
(虹鱒、学名:
Oncorhynchus mykiss
、英名:
Rainbow trout
)
原産地は北米大陸東岸。
かなり以前から養殖、放流が行われてきたというのに今じゃ特定外来種としてやっかまれている地域もあるという。
僕などはてっきり在来種と思っていたくらい親しみのある魚なのに。
釣り師のなかでもこの舶来の魚を外道扱いする人もいるとか。エサ釣りの人にある傾向らしい。
性格は貪欲で悪食。警戒心もさほど強くはなく、釣るのも容易。
生息域も広くて、渓流とは言えない下流域にも分布し、思わぬところで釣れたりします。
一度、真夏の信濃川本流で釣ったことがありますが、よほど高水温でも適応できるらしい。
適応力はあるけれど自然繁殖となるとそうでもないようで、もともと繁殖期が4月から6月なのだという。これは魚卵食のあるハヤや二ゴイの繁殖期とかぶるので、そんなところが原因なのかも。
カワマス
(ブルックトラウト 学名
Salvelinus fontinalis
)
カワマスはブルックトラウトの和名で北米東北部からカナダの東部大西洋側の原産のイワナ。
はじめてこれを釣り上げたときの印象は、あまりよいものではありませんでした。
全体に緑色の体色、それに茶色のまだら文様、ヒレにまでそれがある。
なにより不自然なくらい鮮やかな朱点・・・。
あとでブルックだと、教えられました。
もともと食用に輸入されたものだそうで、味も良いとのことですが、もしかして貴重なものかと思って殺さずに放しました。
最近は見ませんが、これとのかけ合わせと思われるイワナは、その後なんども目にすることになります。
F
1
(交雑種)
人が遺伝子をいじくってできたものは別として、自然界で発生したと思われる他魚種とのかけ合わせ。
イワナにしては朱色の斑点が鮮やか過ぎる。しかもわずかにヒレにも紋様が認められます。
調べてみると、どうも「ジャガートラウト」というやつらしい。
そういえばこの近くにカワマスのいる湖がある。
カワマスはブルックトラウトの和名で北米東北部からカナダの東部大西洋側の原産のイワナ。
日本のイワナとの相性も良く、交雑し易いのだそうな。
最近よく見るパーマークつきのニジマス。
個人的にはパーマークレインボーなんて呼んでいますが、一見、ヤマメと見まがう姿をしています。
ニジマスも稚魚には幼魚紋のあるのは知っていましたが、20センチクラスのニジマスは幼魚だろうか?
ニジマスはよくエサを食べるので、成長が早くパーマークが消える前に大きくなってしまったのかナと思っていましたが、あるいはこれが「クイーントラウト」か?
もしやヤマメ×ニジマスのかけ合わせかとも思ったり。
なんかニジマスをベースにした交雑種がいろいろつくられているらしいので、そんなことも考えてしまいました。調べてみると・・・。
クイーントラウトとは新潟県のクイーントラウト・フィシングクラブを経営する土田養魚場によりニジマスを基にしたバイオテクノロジ−による雌の3倍体。すべてメスで繁殖能力はないという。
よくはわからないんだけど、3倍体ということは別の種の遺伝子が入っているわけではないらしい。
ニジマスは早くから養殖に成功し、改良されつづけ、原種がなんなのかよくわからなくなっているらしい。
でも、ようするにニジマスには違いないんだ。
カジカ
(鰍、学名
Cottus pollux Gunther
)
カサゴ目カジカ科に属する魚。 別にハナカジカというのがいるらしいのですが、僕にはちょっと区別がつかない。
英名では
sculpin
という。 彫刻されたものとかいう意味らしいが、骸骨ッぽいという意味かもしれない。
小供のころは夏場、近くの川でよくヤスを用いて捕獲した記憶があります。でも河岸工事や農業用取水で川が干上がり、数が激減。 事情はどの川でも似たようなもので、しだいに川遊びから離れていったのを覚えています。
専門に狙ったことはないけれど、しばしば釣れてくる。
早い流れは苦手らしく水流の巻き返しとかトロ場やたまりなど、仕掛けが流れて行かないようなところでねばっているといつの間にかエサを喰っていたりします。
どちらかというと川虫の採取をしているときによく網に入ることがあります。最近ではあまり工事もなくなり、数を回復させてきているらしい。
とある釣り具屋さんで、この魚はよいイワナ釣りのエサになると聞かされたことがありますが、まだ試してはいません。
一時的にせよ数を減らしたことのある魚なので獲るのにためらいがあるので、獲れてもリリースしています。
美味なんですけどね。
アブラハヤ (油鮠、学名
Phoxinus logowskii steindachneri
)
山地の湖沼や河川の上、中、下流とあらゆる流域に生息します。
水さえ枯れなければ用水路など、かなり細い流れの中でも見られる強靭な環境適応力をもった魚。
カジカとともに、僕にとっては思い出深い魚のひとつ。よく遊んでもらいました。
エサを投入するとすぐ喰ってきて、仕掛けをギュンギュンひっぱりまわすので、スワ大物かと思わせられたこともありました。
自分と同じサイズのルアーにも果敢にアタックする小さなファイター。
渓流では外道扱いですが、これが釣れるとなんか笑みがこぼれてしまうんですよね。
ウグイ (石斑魚、学名
Tribolodon hakonensis
)
近縁種のマルタウグイとともに外道の代表格のような存在。
雑食性で、魚卵もよく食べるというので害魚とされることもあるようですが、外来種でもないのにそんなあつかいは不当でしょう。
コイ科の彼らは濁りのある水が好きなので、上流で工事とかをすると流れてくる濁り水に惹かれて渓流魚のいる流域まで上がるということもあるのです。
つまり人間が余計なことをしなければ、彼らはバランスのとれた生態を保つはずなのです。
冬場は小河川からは姿を消しますが、夏の水温上昇とともに川を遡上し、魚止めさえなければかなりの上流域まで上るようです。
それだけにどこにでもいる身近な魚で、脈釣りのウデを磨くのによく付き合ってもらいました。
本流なら30センチを超える良型もいるし、ルアーへの反応も良く、ゲームフィッシングの相手としても充分楽しめる魚です。
これは信濃川本流のウケクチウグイ。55センチ。