三国川(さぐりがわ)2
夏。
梅雨は開けていないはずだが強い日差しのこの日、ヤマメ釣りに来てみた。
本当はもう少しはやく来たかった。雪代が治まったあとが理想だった。もうこの時期になれば川も荒れているだろう。だから釣果は厳しいものになるという予想はしていた。だから「蜻蛉」に頼むことにした。
シマノテクニカルゲーム蜻蛉(かげろう)ZL【65-70】。
細イトを使用するので魚の食い込みはよい。25cmくらいならまず問題なく獲れる。
魚野川出合から始めるが、ただっ広い河原がひろがる浅瀬のポイントしかない。魚の反応はあるが、小ハリを使用しているにもかかわらず乗らない。たまに掛かってきても、稚ハヤと稚ヤマメ。まあ当然だな。小ハリにキジ餌だし。
場所を移して深沢橋下の河川敷に降りる。
崩れた段差とコンクリートブロックの河床が、よい雰囲気の、変化のある流れを形成している。まずは深場を攻めてみる。
オモリは軽めでも、水中イトのフロロカーボンは水より重いので下のタナまではいってくれる。ただ魚信がとりにくい。目印が動かなくなるが、魚信なのか下波に入ったのかよくわからない。2,3回空振りしたが、キジがかじられている。確かにいる。小ハリだが、わざわざミミズ通しを使用して投入。ついに捉えた。
深度と水勢のあるところなので手こずったが、どうにか上げた。中型のヤマメ。やや細身だが25cmはありそうだ。
気を良くして続きを期待したが、小物が一匹釣れただけ。少し下流の瀬を攻めてみる。
チャラ瀬と言っていい。ポイントとなるのは石裏のタルミなどだが、小さいポイントなので上流にエサをおとして操作し、ポイントを通過させる。風が出てきて、空中イトがあおられる。流し切ったと思って竿を立てると振動が返ってくる。たった一投目で喰ってきた。思ったよりスレていない。21cmくらいのよいヤマメ。このあと、あまり良型とはいえないものの、20cm前後が5匹ほど釣れた。
深沢橋より上流は、しばらく魚は出なかった。魚信はあるが乗らない。小物か、あるいはスレ者か。
釣りあがってゆくと、右から五十沢川が合流する。その先に、左に魚道を配した砂防堰堤がある。ここに小ハヤがたまっていて、ほとんど入れ食いとなる。エサがもったいないので切り上げることにしたが、一匹だけヤマメが釣れた。
この堰堤の少し上に、とてもよい深瀬がある。どうも河岸工事の際に人工的に作られたような、ちょっと不自然な感じはしたが、青く深い水の中に大石が点在し、複雑な流れを形成している。
仕掛けを投入するが、流れが読めずコントロールに迷う。何投目かで、キジがかじられて上がってきた。もっとも淀んだ流れの緩い底のあたりだ。こんどはピンポイントに狙い、底を取った状態でポーズする。するとストンと目印が落ちた。ファイト・オン。
複雑なところだけに石にイトが擦れないかと気が気ではない。魚はそれを狙ってか、石の下のエコに入り込もうとする。
2分くらいだろうか、ようやく姿を現した。中クラスのよいヤマメだ。水面に顔を出しても頭を振らないのはバテている証拠だ。岸に近づくと思い出したように走り出すが、長続きはしない。
そしてラウンディング。
いちいち測らないが、23cmとみる。この竿なら抜くこともできるはずだけれど、まだ自信がない。
この深瀬からあと2匹。ややサイズアップし、25cmも出た。
強い日差しに焼かれながら上流に向かうが、しばらくは竿を出す気になれない浅瀬続き。そして鳥巣大橋に到達した。この少し上流で、この日最後の良型を捕えた。
7月半ばの釣りとしては上等な結果と、自分じゃ思っているが、かつては、魚が多くて、釣果の安定している渓流との情報を得ていた。過去の話なので、僕はその通りの結果を出したことはない。
ここ数年来、災害や、その復旧工事などで、様相がだいぶ変わってしまった釣り場を多く見ている。この三国川も例外ではないようだ。
今回の釣行は、わずかにその残照といえる経験をさせてもらったのかもしれない。
支流・野中沢川
三国川
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.93450513389&latitude=37.065500397493
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