志久見川支流・天代川
志久見川支流・天代川。
長野県下水内郡栄村堺で北野川と合す。
ここに来たのは初めてではない。坪野集落をこえて砂防堰堤のあるあたりまで釣行したことはある。でもよい渓相の割りには結果に恵まれなかった。けっこう人が多くてイワナは少なかった。一時期、禁漁だった頃もあった。高水漁協の看板が立っていて、記憶が定かではないが、「サク川マスは捕獲禁止」とあったと思う。「サク川マス」が何なのか、いまだに分からない。
釣りは合流地点からできるが、あまり釣果にはめぐまれたことがない。天代と坪野の中間あたりに取水堰があって、農繁期には水量が減るのが原因かも。やるなら水が取られる前。
5月に入ったら取水堰から上流。ここからが本番だろう。
天代川取水堰上流。
同下流。
小渓流ではあるがボサ川ではない。両岸の樹々は高くて、さほど邪魔には感じない。仕掛けは3mくらいのものを使用。ちょうちんの出番はあまりない。
イワナはそこそこ釣れる。サイズは20cmちょっとといったところ。ポイントはあまり大場所というのはないが、石裏やちいさな落ち込みの下の深場で小気味いい引きがある。とくに危険場所もなく快適に釣りあがれる。
天代川一発目。
5月の後半、気付けば春はとっくに過ぎ、すでに初夏。天候に恵まれたおかげで気分のいい釣りができた。水は清冽で陽射しを受けてまぶしく輝く。木漏れ日と樹々の緑の中での釣りは幻想的ですらある。今が一番いい時ではなかろうか。
坪野集落付近になると、すこし魚信が遠のく。クマザサのヤブが邪魔だ。突然鳥が足元から飛び出した。またカルガモか?!飛び立ったあたりをしゃがんでのぞいてみる。案の定、いた。
こんどは卵ではなくヒナだ。じっとしているので撮れた。そこから離れると、ピヨピヨという声をたてはじめた。上空には親鳥と思しき鳥が舞っている。驚かして悪かった、でも俺だって驚いたぜ。
坪野集落。
右手に民家を見ながら遡行する。良型を一匹釣りあげたが、なかなか続かない。よいポイントはあるのだが・・・そう思っていると、目印に飛びついた魚がいた。そういえば羽虫が多い。カゲロウのハッチか・・・。水面で踊っている虫もいる。・・・まてよ、ということは沈めちゃだめか。オモリが水面に見えるような流し方をしたら、釣れた!どうやらイワナは水面を見ているようだった。もうエサの時期ではないんだな。
集落のおわりに橋が架かっている。これを境に魚信が増えてくる。サイズは相変わらずで、7寸ものがそろって上がる。でも以前に来た時よりよく釣れる。渓相もよくなってきている。これで大物が出てくれれば・・・と思うのだが。
ただ、掛かるとよく引く。20cmといえど、めっぽう走り回り、なかなか抜けない。ニジマスかと思ったこともあった。水温が上昇し、エサをよく食べ、イワナも体力をつけているのだろう。
ふと赤茶色いものが目に入った。そして思わず声をあげてしまった!
キノコ。ヌメリスギタケモドキ発見!この時期でも発生するんだ・・・。古いカワヤナギの幹に4本ほど。「山菜取り入山禁止」の立て札があるがこれは持って帰っていただこう。
この先には3っつの砂防堰堤があり、その間にもイワナはいる。魚影もサイズもあまり変わらない。
林道は、ほぼ川に沿って続いていて、この辺は割とどこからでも入渓はできる。その気になればかなり奥までクルマで入れるのだが、道は細いし崩落した箇所がいくつかあり、あまりお勧めできない。僕は二つ目の砂防堰堤の見下ろせるところから、すこし行ったところにある駐車スペースまでにしておいた。
三つめのスリット型砂防堰堤から先は、林道との落差が大きくなるので入渓は無理。約1kmほどであろうか、歩いてゆくと左から流れる小さな沢があり、橋が架かっている。この辺からまた入渓できるようになるが、ここがクルマで来れる最終地点。少し行くと崩落した岩石や木々が行く手を阻んでいる。
コンクリートの護岸がななめになっている。その下の渕は良型が期待されたが、いまいち。黒くて腹の黄色い、いかにもネイティブっぽいいいイワナだが、やはりこのあたりにも人の跡がある。この時期になればしかたないか。
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